食事・窒息防止マニュアル
1. 窒息とは
窒息は、短時間で生死に関わる重大事故であり、以下の4種類に分類される。
1)溺れる(溺水)
2)首が絞まる・押さえられる(絞扼)
3)鼻と口が覆われる(布団等による窒息)
4)喉または気管に詰まる(誤嚥窒息)
特に誤嚥窒息は発見が遅れれば数分で命の危険があり、ヒヤリハットとして表面化しにくい。
窒息は「深刻な状態に至るまでの中間段階がない」ため、事前の予防が極めて重要である。
2. 誤嚥窒息が最も危険である理由
誤嚥は他の窒息と異なり、見つけて対処しても取り出せない場合がある。
救急隊が到着しても除去できないケースや死亡例も報告されている。
「前に詰まったときは出たから大丈夫」という考えは誤りである。
与える食材・環境・姿勢・食べ方がすべて重要であり、継続的なリスク管理が必要である。
3. 誤嚥窒息のメカニズム
誤嚥は「喉(上気道)」または「気管(下気道)」に詰まることで発生する。
誤嚥しやすいのは、次のような行動の瞬間である。
・笑う、驚く、泣く、急な動き
・食事中に立ち歩く
・ふざけながら食べる
・姿勢が不安定(足が床につかない等)
食事は「姿勢」「環境」「集中」が不可欠。
落ち着いた環境で、足が床につく高さに椅子・机を調整する。
4. 基本的な予防策
・ひも、ロープ、ブラインドの紐、タッセル、肩掛けストラップなど、首に巻きつく可能性のあるものは子どもの手に届かない位置に管理する。
・睡眠時は、ガーゼ、布団、タオル、ぬいぐるみなどを顔周りに置かない。
・遊具や家具の構造を点検し、挟まりや引っ掛かりの危険がないか定期的に確認する。
5. 詰まりやすい食材
丸いもの(ぶどう、ミニトマト等)
粘着性のあるもの(もち等)
乾燥したもの(パン等)
噛み切りにくいもの(いか・ゼリー等)
ばらばらになりやすいもの(ひき肉、ブロッコリー等)
などは特に注意が必要。
※2歳児の気管は直径6mm程度のため、小さくても完全にリスクはなくならないことに注意
6. 誤嚥しやすい子の特徴
・噛まずに丸のみにするクセがある
・歯の本数が少ない、咀嚼が未発達
・早食い、集中力が続かない
・興奮しやすい・立ち歩きが多い
食材の提供は子どもの発達に合わせて調整する。
7. 誤嚥チェッカー基準
従来の「39mmの筒に通るものは危険」は古い基準である。
現在はEU規格を参考に「45mm」と「32mm」の2つのサイズが基準。
これは36か月児の喉の入口と奥に詰まるサイズに相当する。
4〜5歳でも口に物を入れる癖がある子は注意が必要。
8. 誤嚥時の対応(緊急時)
むせている時に背中を叩くのはNG。
驚かせて深部へ押し込む可能性がある。
閉塞したと判断したら、すぐに119番通報する。
救急要請が最優先であり、1秒でも遅らせない。
【1歳未満】
・背部叩打法と胸部突き上げ法を交互に行う
【1歳以上】
・腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行う
・救急隊が到着するまで繰り返し実施する
9. 詰まったものが出た後の対応
取り出せた場合でも、気管や肺に残っている可能性があるため、必ず病院を受診する。
保護者へ連絡し、「搬送先が決まり次第再度連絡します」と伝え、連絡が取れる状態を確保する。
10. Hippopot託児室の運用ルール
【食事中の姿勢】
・必ず足が床につく高さの椅子を使用、もしくは保育スタッフの膝の上に座らせ、姿勢を整えてから食事を開始する。
・立ち歩き、遊び食べ、ながら食べは禁止。
・興奮・大声・笑いながらの飲食は制止し、落ち着いた状態で食べる時間を確保する。
【提供する食材について】
以下の食材は提供せず、保護者に同意を得る。
・ミニトマト、ぶどう等の丸い食材で分割されていないもの。
・白玉など粘りのある食材。
・ナッツ類、あめ類、こんにゃくゼリーなど。
【食事中の見守り体制】
・必ず1名以上が子ども全体の食べる様子を見守る。
・子どもの咀嚼・飲み込みが甘い場合は、提供停止など個別対応を検討する。
【食事準備時のチェック】
・硬い食材/丸い食材/粘性の高い食材がないかチェックする。
・誤嚥リスク食材は必ず保育者が事前確認する。
【食後の確認】
・咳込み、涙目、ゼーゼーがないか数分間チェックする。
・異物感を訴える場合はすぐに総括へ報告する。
11. 園内環境の整備
・ひも・紐・ストラップ類はすべて子どもの手が届かない位置に固定する。
・ベビーベッドの隙間や布団サイズは窒息を起こさない構造で統一する。
12. 職員間の報告ルール ・「いつもと違う食べ方」や「飲み込みにくそう」などの違和感は必ず共有する。
・誤嚥リスクの高い子はスタッフ間で情報共有し、食事担当者に引き継ぐ。
・インシデント(未遂)も必ず記録する。